陶心陶語

岡部嶺男 窯変米色瓷盃のこと

 

岡部嶺男 窯変米色瓷盃のこと

 


岡部嶺男(1919~1990) 窯変米色瓷盃  1977年 
岡部辰子代筆箱  w8.2×h5.8㎝

 

 岡部嶺男が青瓷を始めたのは、43歳といわれ、その7年後には、青瓷大砧が皇居宮殿の調度品になったというからいかに嶺男の才能が偉大であることが理解できます。
その後、青瓷は嶺男の代名詞になった窯変米色瓷へと進化します。

病に冒され右半身不随となって、結果的に岡嶺男の最終章を飾ったのが、この窯変米色瓷になりました。
茶色・緑色・青色・黄色など光や光の角度により7色にも変幻する美的な窯変米色瓷は、岡部嶺男の窯変芸術の究極の姿でありますが、嶺男先生がご病気療養中で新作が途切れていた当時、次なるモノは何かを期待していたことを思い出します。

 


窯変米色瓷盃(上面より)

 

 


作品が収まる桐箱の箱書き

この箱書きは、突然の病による後遺症で右半身不随となり、筆を持つことができなくなったことで、辰子夫人が代筆したもの。

この箱書きを拝見するたびに、硯を摺る辰子夫人を傍らに添い見つめる嶺男先生の姿を想像し思いを馳せる。

 

 


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