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太田 梁 陶芸展
2月14日(土)〜2月19日(木)
黄瀬戸鉢
黄瀬戸徳利・黄瀬戸ぐい呑
太田 梁さんに
それは黄瀬戸の茶碗で、油揚肌にタンパンが美しく映えていた。他作家を凌ぐ出来映えに、たいそう驚いたものだ。
その魅力的な茶碗の作者・太田さんにぜひとも会いたいと思ったが、逢うこと、その思いは叶わぬことだった。
太田さんの作品を初見したのは、2014年夏。彼が亡くなって1年が経とうとするときで偶然のような作品との出会いになった。
1971年、岐阜県瑞浪に生まれた太田さんは、20歳代にはロックバンドに在籍しベースを担当、東京・名古屋を中心に音楽活動をしていた。
或時、陶芸教室に通うようになり、陶器制作の魅力に彼はのめり込んでゆく。そして、30歳を目前に瀬戸の名門製陶所に轆轤師として就き、陶芸の道に進んだのである。その後陶芸家に弟子入りすることになるが間もなく独立。この間、およそ5年であった。
志野・織部・瀬戸黒・焼締・粉引・赤絵など多種多様な作品を制作していた太田は、特に黄瀬戸には執心して取り組んでいた。
太田さんの作風で特徴なるものは、作品の芯の強さと柔軟性にある。それは、リズムを刻みながら音を豊かに奏でるベースギターの性質にも似ている。
太田さんに会うことはできないが、太田が遺した作品から、黄瀬戸の豊かな音色をいつまでもいつまでも心地よく聴くことができるのである。
黒田佳雄
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