根来板 (部分)
大藏達雄 個展 -根来塗-
10月1日(土)〜10月6日(木)
このたび黒田陶苑では、漆芸家の大藏達雄さんの個展を開催いたします。
根来塗を極める大藏さんは、木地作りから漆塗りまでを一人で一貫して制作し、あえて木材の歪みを活かして楕円の器を作り、また、古材を使うなど、他では見られない自由な作風で人気を博しています。
重厚な迫力のあるお盆や普段使いにできる椀や鉢、古材を使用した一点モノまで、80点あまりの新作個展となります。
ぜひ、ご高覧くださいますようご案内申しあげます。
根来輪花盆 w25.1×h4.3cm
大藏さんの「根来」
渡邉妙子 (佐野美術館・館長)
大藏さんの「根来」には、力がある。
私は身近に置いて使ってみたくなる。使っていると、ずうっと使い続けたくなる。大藏さんの「根来」の赤は、人の心を引き付けて離さない。赤の色が鮮やかではなく、深みがあるからに違いない。
大藏さんの「根来」には、素材の強さがある。彼は地上に生きた長い時間を蓄えた木材の力を器に籠めている。大藏さんの「根来」の手斧の跡は、人の心を引き寄せる。決して饒舌ではなく、静かに生きている証を物語っているからに違いない。
かつての根来寺の「根来」には、使うのを遠慮してそっとしておきたい、痛々しさがある。
かつての根来寺の赤は、朱色で人の心に和して、静かである。
かつての根来寺の素地は、軽やかに時の移ろいを受け止めている。
大藏さんの「根来」は、化学的合成製品の氾濫する時代を乗り越えて、大地の力を未来に伝え続けるに違いない。それは、地球の生命を、創作の力で器に活かしているからである。
根来瓶子 w19.3×h30.6cm
根来天目台 w15.4×h6.8cm
根来炉縁
根来炉蓋
大藏達雄 Ohkura Tatsuo
1952 長野県南木曽町生まれ
1972 二代村瀬治兵衛に師事
1982 静岡函南に工房「綱轤」を開設
2016 第14回個展(銀座 黒田陶苑)
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