-魯山人再定義-
2021年7月17日(土)〜 7月29日(木)
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Redefining Rosanjin / Takashi Murakami
至高の陶芸術創造への道
村上 隆
この度、銀座 黒田陶苑さんで、魯山人を再考察する為の展覧会を行わせて頂くことになりました。その内容は、信楽や織部の写し壺を、さらに本歌取りするというプロジェクトで、私、村上隆が企画をして、陶芸家 村田森が実際に制作した壺の展示販売となります。
もう十数年前から、銀座の黒田陶苑で魯山人のあれこれを購入させてもらっていて、その中でも信楽の写しの壺を手に入れたときに、なんというか、魯山人の芸術家としての悲哀を感じて、シミジミと感動しました。何故、魯山人は、骨董を石膏で型を取って、自分なりに焼いたのか。
僕が予想したのは、最晩年の作品ということで、魯山人本人が思い通りに職人さん達を扱えなくなってきたのかなと想像しました。うまいこと技術や想いが伝達できないなら、骨董の型を取った方がいいんじゃないかということで、やったのかなぁと。
それから魯山人が持っていた、膨大な骨董コレクションが集まる集古館の中で、どうしたら自分の持っている知見というものを、オーディエンスと共有可能なのかという実験でもあったのかなぁ?と。
あまりに批評家、コレクター等との知識の差がありすぎて、「おまえらには、わからんと思うけど、芸術というのはこういう事なんじゃ!」という雄叫びであった気もするのです。
しかも、当時の批評において、魯山人は、オリジナリティーがないということが、取り沙汰されていて、低レベルな批判の対象でしかなかったのではなかろうかと。
オリジナル、コピーの境界線の問題。創造の世界の中心とは何かを考える部分でも、魯山人は、現代の先取りをしていたと思います。写しとは、概念そのものを写してくるということは、どういうことなのかという、温故知新の真髄をやっていたと思います。
で、僕らは現代の技術を使って、魯山人の冒険の追体験を行おうと思いました。
魯山人写しの壺をデジタルスキャンして、そのデータを2〜3日かけて、クリンナップして出力して行く。このプロジェクト始めたのが、6年ぐらい前だったんで、1壺を透明樹脂で出力していく方式で、約150万円〜250万円ぐらいかかってしまい、それが4つ。そこから115%の大きさで、もう一回、発泡スチロールで出力し、それを原型にして、村田森さんの工房にお願いして焼いてもらったのです。もちろん村田森さんの工房での四苦八苦、七転八倒は、筆舌に尽くし難きでしたが、そのことは、ここでは割愛します。
そんな形でつくられた作品です。
それからもう1つ、本展で提案したいことは、芸術を所持すること、購入する行為とは人生においてどう言った体験なのか?という問いかけを行って欲しいのです。
骨董や陶芸作品を購入される方々は、皆、知識を溜め込み、その知識を駆使して、ああだこうだと、うんちくを語りますし、作品を理解し購入する手がかりとします。
それは正しいことではありましょうが、それだけでは、芸術を理解することにはならないのです。
じゃあ千利休が、黒楽茶碗を作らせた時なども、そのようなうんちくを語るようなことから逆算されて作られたようなものだったでしょうか。
答えは違うと思います。
争点は、全く新しい美の発見、気付きを与えられるかどうか、であったハズです。
ある日ある時、人生が全て変わる瞬間がありますが、芸術を所持するというのは、そういった経験です。
ですので、これが好き嫌いであるとか、ちょっと綺麗とかこの辺が好みであるとか、というレベルの話ではないのです。
なので、その辺も気がつきつつ、今回のプロジェクトを観ていただき、そして購入していただければと思うのです。
村上 隆 Takashi Murakami
1962 東京生まれ
1993 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了
村田 森 Murata Shin
1970 京都生まれ
1993 京都精華大学陶芸コース研究科卒業
このたび銀座 黒田陶苑アネックスでは、-魯山人再定義-村上 隆×村田 森展を開催いたします。
現代美術家の村上 隆さんが企画制作監修をし、陶芸家の村田 森さんが製作するという陶芸プロジェクトです。
最新デジタル技術を使った最先端の陶芸作品、12点を販売いたします。
※今回の展覧会は、特別展のため、会期中は無休で開催いたします。
|展覧会カレンダー|