陶心陶語

濱田庄司 柿釉青流扁壺のこと

濱田庄司 柿釉青流扁壺のこと

「(英国生活で感じた文化である)ハイカラをそのまま受け取る気にはなりません。もうそのハイカラよりも一つ先の文化が、そろそろ来なければならない時期のように信じられます。そして当然、その文化には東洋が直接間接主要の役目を果たさなければならない意義があると思う。」
助手としてバーナード・リーチに乞われ渡英した26歳の濱田庄司。イギリスで異文化に触れたことによって、その後の濱田藝術を形成することになりました。
自らも陶芸家として大きく羽ばたく契機になった、柳宗悦による民藝運動を強力に推し進めた濱田庄司。日本の陶芸界の巨人となった濱田は、戦後にはオリジナリティを強調した作風を展開。イギリスで思いを馳せた「ハイカラのその先の文化の創造」を実践するかのように、伝統技法を駆使して装飾的・デザイン性豊かな作風を次々と発表してゆきます。
この作品は、威風堂々とした形状を持ち、赤味のある茶褐色の柿釉の上に、濱田庄司が「青」と呼ぶ緑釉を流し掛けしています。
黒色から茶褐色への釉薬変化に見どころがあり、緑釉の発色も理想的な仕上がりの逸品。
表裏の流し掛け文様の違いもあって装飾性を兼ねそなえたお洒落作品で、身近に飾って楽しめる濱田庄司の一品です。

 

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