陶心陶語

師は唐九郎


山田 和 志野茶碗(2017年新作)

 

 

2012年に開催した「山田 和-瀬戸黒茶わん展」から早5年。
昔々、1950(昭和25)年に私どもの店で行った「加藤唐九郎-瀬戸黒茶わん展」は、戦後初の個展開催として陶芸史の一行に記され、それは戦後復興を意味しているものでもありました。
東日本大震災の翌年に開催しました「山田 和-瀬戸黒茶わん展」は、早期の震災復興を願い、陶芸史に残る由緒ある展覧会の名称に因んであえて名付けたものでした。
ご承知のとおり、山田 和氏にとって昭和の名匠・加藤唐九郎は師であり、唐九郎の晩年に側近した数少ない人物のうちの一人です。当時まだ若かった山田 和は師から、行儀作法に始まって、茶碗の見方・作り方、美の本質・芸術論に至るまでを教え込まれたという貴重な経験をもちます。
師とともに過ごされた濃密な時間が熟成して、現在の作品となって表れていると思うのは、私だけではないはずです。
このたびの展覧会は、前回の「茶わん展」の続きとして名称を引き継ぎ「山田 和-志野茶わん展」といたしました。「瀬戸黒」もそうでしたが、今回の「志野」は、「今までに見たことがないような作品」が多く含まれています。
伝統を探りつつ新しきを求め、歩みを止めることのない山田 和の陶芸。
それは、師から授かった教えの実践にほかなりません。

 

 


山田 和  瀬戸黒茶碗

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