陶心陶語

陶芸巨匠のぐい呑

高度の経済成長を続けていた日本に絵画・彫刻・古美術骨董などの美術品蒐集ブームが巻き起こった昭和40年代、後を追うように現代陶芸の世界にもその動きが始まった。他の美術品に比べて安価で入手できるものも含まれていたため、若い世代や女性も加わり、まさしく老若男女、幅広い人々により現代陶芸ブームが支えられていたのである。
蒐集の対象になった陶芸作品は、若手作家から陶芸巨匠まで人材豊富で、デパートなどでも容易に購入でき、花器・茶道具・食器・置物などアイテムも豊富で、実用性を兼ね備えて、それぞれの購入予算やライフスタイルに添わせることができる利点もあったのである。現代陶芸蒐集の初心者がまず手にとったアイテムは、酒を楽しむための「ぐい吞」であった。数を集める為の場所を取らず、実際に使え、さらには陶芸家の個性を手のひらの上で実感できる喜びを感じることができたからである。
昭和40年代に始まった現代陶芸ブームの中、陶芸巨匠のぐい呑は、数多く誕生したぐい呑コレクターの垂涎の的で、制作数が少ないことから当時でもプレミアがつくほどの人気を誇っていた。
画像は、その陶芸巨匠のぐい呑である。
この4点の作品に共通していることは、そのサイズ感であり、どれも特大ともいえる大ぶりで、それは陶芸巨匠たちが群雄割拠し個性を凌ぎ合っていた時代を象徴するものといえるだろう。

手前から時計回りに、荒川豊藏、加藤唐九郎・加守田章二・岡部嶺男のいずれも昭和40年代に制作された作品で、各陶芸巨匠の個性を顕著に表している一品一品である。

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