陶心陶語

石黒宗麿  唐津盃 のこと

 

石黒宗麿  唐津盃 のこと

 

 

 
石黒宗麿(1883~1968) 唐津盃 
1940年頃作 小山冨士夫箱  w7.3×h5.2㎝ 

 

 

30年以上前、頻繁に、小山富士夫作品の鑑定と箱書きをお願いする為に、所定鑑定人であったご子息の小山岑一氏をお訪ねしていた。
そのお宅は、鎌倉・二階堂にあり、小山富士夫先生が暮らし制作拠点にされていた所でした。

鎌倉らしい風景を眺めることができるお二階の応接間には亡き小山富士夫先生のコレクションが飾られていて、箱書きを待つ間にそれらを鑑賞するのが愉しみだった。

中国古陶磁や古唐津に並んで、盟友であった石黒宗麿先生の三彩や唐津の作品も飾ってありました。
小山岑一先生から、コレクションの来歴やお父上の冨士夫先生の想いをお聞きするのも愉しい時間でした。

お気に入りだったというお話を聞いたからなのか、その石黒宗麿の斑唐津風のぐい呑は印象深いものになり、毎回、そのぐい呑を手に取らせていただいておりました。

その後、小山岑一先生は岐阜・花ノ木に転居され、あの美的な鎌倉の邸宅は売却された。
小山富士夫コレクションは、すべて花ノ木に運ばれましたが、小山岑一先生がお亡くなりなったあとに、そのコレクションたちは売却されることになり、散逸してしまいました。
石黒宗麿の作品も行方知らずとなりましたが、最近になって、これが美術市場に出てきて驚いた。

そのズシリとした重みや高台の緋色が、30年前の記憶どおりで、その瞬間にあの鎌倉の景色を思い出してしまった。

 


作品の箱の小山冨士夫先生による表書き「唐津 盃」


上質な仕上げの箱に収められています。

 


箱の裏書き「石黒宗麿作 古山子鑑」

古山子は、小山冨士夫先生の雅号です。

 


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