陶心陶語

北大路魯山人 銀彩スカシ鉢のこと

 

北大路魯山人 銀彩スカシ鉢のこと

 

  北大路魯山人(1883~1959) 銀彩スカシ鉢
1958年作 共箱 w31.5×h15.3cm

 

最晩年期の北大路魯山人先生の銀彩の中でも大型の作品です。
魯山人藝術を象徴するマスターピースといって過言ではない作品です。

魯山人が生涯最後に取り組んだ備前の土での制作は、最終的には土味・焼味を隠した銀彩作品へと変化しました。

備前の土で大きな鉢を作り、口辺を指でつまみながら輪花形に。
胴部には不規則かつ大胆に、丸や星形の穴ぐりの透かしが入れられてあります。

 

 

登り窯での焼成後に、全面に銀彩を施し、さらに紺・緑・黄の三色の色絵具で水玉模様を打ち付けるように描く。

鉛色に鈍く輝く銀彩の上に踊る色彩や不規則に空けられた穴の暗黒は、幽玄な世界へと引きこまれる感覚を覚える。

美への執念を燃やし続けた美の巨人・北大路魯山人が最終最後に到達した美の極地といえる作品である。

 


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