黒田辰秋 黒柿紙刀のこと
黒田辰秋(1904~1982)
黒柿紙刀
w3.6×h40.3㎝
共箱
1970年代
黒田辰秋 黒柿紙刀のこと
特段に暑かった夏が終わり、赤トンボが空を舞い始め、山海の秋の味覚が出回り始め、秋の終わりに登場する柿の実も色づき始める頃になりました。
そのようなことを想いながら、取り出したものがこの辰秋先生のペーパーナイフ。
四十糎を超える大き目の寸法。
素材に柿の木を用いたもので、黒い漆器とは違う黒色が美的である。柿の木の一部分に現れる黒い部分を黒柿と称するのだが、この作品は、おそらく相当に大きな柿の大木から板取りしたものと推測できる。
たくさんの実を付ける村で一番の古木だったかもしれない。
木取り・板取りの目利きであった辰秋が柿の巨木を、よくぞこの美しい造形にしてくれたものだと思う。
ただ朽ちていく運命だった巨木がこうして美術品として、未来永劫に大切にこの世に
残されるからである。
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