Kanjiro Kawai
河井寛次郎 海鼠鉢
h9.5×w25.6cm 共箱 1933年 Sold
中国・宋時代の鈞窯に原初をうかがうことができる格調高い寛次郎の鉢です。
タチアオイ・木槿などの気品高い花木の花びらをモチーフにし形作られ、中国の宮廷料理の高級食材であるナマコの色に似ていることから、海鼠釉と名付けられた青と黒と淡青の色調が美しい作品。
釉薬の天才と呼ばれた寛次郎が、民藝運動に参画し活動を始めた当初の作品で、民藝スタイルの重厚・骨太の印象があります。
超絶技巧・繊細精緻を誇った民藝参加以前の作風とは一線を画しながらもなお、美しい釉薬表現を目の当たりにすれば、釉薬の天才の片鱗を隠しきれないでいる民藝参加直後の寛次郎の心の葛藤が垣間見れます。
民藝運動によって生まれた各地の民芸品に、このような作風が多く存在するのは、この寛次郎作品の影響があると考えられています。
河井寛次郎 かわいかんじろう
1890 島根県安来市に生まれる
1914 東京高等工業学校窯業科卒業
京都市陶磁器試験場へ入所
1920 京都五条坂で制作活動を開始。工房を[鐘渓窯]とする
中国や韓国の古陶磁を参考にした作品を制作
1922 東京での個展が好評を博し、名声が高まる
1924 スリップウエアに感激し、作風が変化
1926 柳宗悦・濱田庄司らと民芸運動を起こす
簡素な形にオリジナル図案を施した作品を制作
1937 パリ万国博でグランプリを受賞
1949 創作的な作品の制作が始まる
1966 逝去(享年76歳)
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