本日の一品

Munemaro Ishiguro

石黒宗麿 刷毛目茶碗

w14.5×h6.4cm 共箱 1935年頃

石黒宗麿 刷毛目茶碗

 

石黒宗麿 刷毛目茶碗のこと

芸術性豊かな才能を多方面に示し、自由自在な作風を展開した石黒宗麿先生。
鉄釉陶器の高い技術によって人間国宝に認められていますが、多岐にわたる作風により、石黒宗麿の代表作を一点挙げるのは困難といえます。鈞窯・磁州窯・越州窯・宋赤絵・唐白瓷・三彩・藍彩など中国古陶磁、刷毛目・粉引・鉄絵などの李朝陶、時に志野や黒織部まで石黒宗麿の好奇心は尽きることがありませんでした。
京都という土地柄、そして戦後の茶道の隆盛期という時代背景もあり、茶碗の数が多いことで知られている石黒ですが、その茶碗も実に肩の力を抜いた作品が多く、鑑賞するものにとっては物足りない要素が多く、実用性を喜ぶしかない作品が少なくありません。
石黒の茶碗は行間を読まなければ理解できないとお客さまに説明することがよくありますが、意外に作者は気儘に作っていたのかもしれません。
特に晩年に多く作られた鉄絵を施した唐津風の茶碗は、そよ風のように軽やかにまるで散歩をするがごときの成り行きまかせの轆轤わざは、石黒フリークの心をつかんで離しません。
それに対して、この作品は石黒がまだ若い40歳ころの作品で、それまで中国古陶一辺倒だった石黒が、倉敷紡績の大原孫三郎の知遇を得たことなどにより李朝陶に初めて接し、それまでにない感銘を受け、苦心して倣作した刷毛目茶碗です。
肩肘張ってはいるものの、こだわって砂高台にするなど、モノに対する真摯なまなざしを感じる実にしっかりとした美意識の高い茶碗で、石黒の心根に存在する図太い精神性を感じる一品です。
この時期の石黒作品は特に少ないゆえに、回顧展に紹介されることがなく歴史に埋もれがちですが、石黒の初期を代表する茶碗のひとつです。
高台脇に印サインがあり、格調高い書風で認められた共箱に入っています。


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【 作品番号 : 576 ]


石黒宗麿 いしぐろむねまろ Munemaro Ishiguro

1893   富山県新湊に生まれる
1918   国宝・曜変天目茶碗を見て感動し、陶芸家を志す
1919   東京で陶芸制作を始める。その後各地に転居を繰り返す
1927   京都東山蛇ヶ谷に移る。盟友となる小山冨士夫を知る
1935   京都洛北八瀬に窯を築く
1937   パリ万国博覧会に出品し銀賞受賞
1941   [石黒宗麿作陶展観](銀座 黒田陶苑)
1955   重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される
           荒川豊蔵、加藤唐九郎らと[日本工芸会]を結成
1963   紫綬褒章を受章
1968   逝去(享年75歳)


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作品お問い合わせ番号 : #576

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