加守田章二先生が1969年に発表したこの作品は炻器合です。「せっき ごう」と読みます。
炻器とは、釉薬を施釉せずに無釉のまま窯で焼成する「焼き締めの器」のことで、合とは、蓋物を意味するものです。
加守田は、岩手県遠野の土を使い、釉薬を使わないで制作した造形的な作品を炻器としていました。
この作品は、加守田が遠野へ移る直前の時期に栃木益子の工房で制作したものです。
エッジを強調した非常にシャープな造形は、その後の造形作品の原点になるもので、この作風を発展させて次なる作品の名作[曲線彫文]に変化してゆきます。
加守田章二の研ぎ澄まされた鋭い感性が凝縮した一品です。