石黒宗麿 鵲鴣斑碗
岡部嶺男 米色瓷茶碗
中国大陸から伝わり鎌倉時代から始まった我が国の喫茶の習慣は、時代とともに多種多様に変化してまいりました。喫茶文化の変化は、茶を飲むためのうつわ「茶碗」に革新をもたらし、日本の工芸文化の基礎を作り出します。
今回の展覧会では、室町時代の古陶から近代陶芸家の意欲作までを特集して展観いたします。ご高覧くださいましたら幸いに存じます。
石黒宗麿 鵲鴣斑碗
岡部嶺男 米色瓷茶碗
中国大陸から伝わり鎌倉時代から始まった我が国の喫茶の習慣は、時代とともに多種多様に変化してまいりました。喫茶文化の変化は、茶を飲むためのうつわ「茶碗」に革新をもたらし、日本の工芸文化の基礎を作り出します。
今回の展覧会では、室町時代の古陶から近代陶芸家の意欲作までを特集して展観いたします。ご高覧くださいましたら幸いに存じます。
絵志野茶碗
黄瀬戸茶碗
「今はその先に何があるのか、見つけ出せればと思っております」
難しいとされる桃山時代の黄瀬戸を再現、完成させた太田梁。
二十歳代後半に初めて陶芸と出会い、遅いスタートで独立した太田さんには、天賦の陶器勘があった。集めていた古陶片は秀逸であったし、釉薬や陶土の研究アプローチでは鋭い感覚と集中力を見せていた。
太田さんが胸の奥に秘めていた「その先」を見てみたかったが、今は、遺された数少ない作品を手にして、太田さんの陶心に触れてみるしかありません。
太田 梁 おおたりょう
1971 岐阜県瑞浪に生まれる(本名・太田良二)
2000 音楽活動を経て、愛知県瀬戸で陶芸修行を始める
2005 瑞浪の生家に工房「咲良窯」を設置
織部・志野・黄瀬戸等の食器を中心に制作を始める2006 東海伝統工芸展に入選する
2010 桃山風黄瀬戸の制作が本格化する
2013 逝去
石黒宗麿先生の名作・鵲鴣斑(しゃこはん)の茶碗です。
鵲鴣斑とは、古来からの言い習わしで、鉄釉の上に褐色釉・柿釉を点々と描きつけたものです。「鷓鴣」という鳥の首の斑紋に似ていることに由来します。
極粗土を用いた大振りの茶碗で、茶碗の内外全面に鵲鴣斑が施されています。
下地の黒釉と表面の柿釉の対比が、とても美しく、見ごたえがございます。
高台の畳付に「栩」の印が押されています。
石黒宗麿 いしぐろむねまろ
1893 富山県新湊に生まれる
1918 国宝・曜変天目茶碗を見て感動し、陶芸家を志す
1919 東京で陶芸制作を始める。その後各地に転居を繰り返す
1927 京都東山蛇ヶ谷に移る。盟友となる小山冨士夫を知る
1935 京都洛北八瀬に窯を築く
1937 パリ万国博覧会に出品し銀賞受賞
1941 [石黒宗麿作陶展観](銀座 黒田陶苑)
1955 重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される
荒川豊蔵、加藤唐九郎らと[日本工芸会]を結成
1963 紫綬褒章を受章
1968 逝去(享年75歳)
鼡志野向付
瀧川恵美子さんのうつわ
瀧川さんは、桃山時代に美濃の地で作られた志野や織部のうつわを手本にして自らの作品を作ってきており、その作陶姿勢が高く評価されるようになってまいりました。
瀧川さんの作陶活動の初期には、「桃山陶」の形状をはじめ、質感やサイズに関して、本歌に忠実に再現することを目指していた。その後、自らの作品を「使ってもらいたい」と思い始めた頃には、桃山時代のうつわのサイズが、現代の日常生活の感覚に似合わないと考え始めていた。
そう。実は、桃山陶のうつわは確実に大きい。一回りかそれ以上のスケール感があり、現代生活の食卓には少なからずの違和感がある。作り手が使ってほしいと願っても、使い手が感覚的に大きいと感じれば、良い作品だなあと思っても敬遠するのは当然のことだろう。そこで瀧川さんは、持ち前の女性目線を発揮し、うつわのサイズを見直すことになり結果、今の人気を獲得するようになりました。
質感や形状に上質を極めた桃山時代の雰囲気を保ちながら、実用にして身近に愉しめる。瀧川さんのうつわの魅力は、このサイズ感にあるといえます。それが、瀧川の個性になっている。
ぜひ、お試し、お使いになってみてください。
瀧川恵美子 Takikawa Emiko
1956 愛知県豊川市生まれ
1977 多治見工業高校専攻科修了
1990 製陶所勤務後、独立。制作を開始
2006 岐阜県土岐市に工房設置
2011 第一回個展(銀座 黒田陶苑) 以降毎年開催
このたび黒田陶苑では、山田 和先生の新作個展を開催させていただきます。
昭和29年に愛知県常滑の名門陶家に生まれた山田和先生は、幼い時より土と炎に親しみ、大学では陶芸を始め芸術・工芸を幅広く学ばれました。卒業後間もなく縁あって福井県・越前陶芸村に工房を構え、制作を始められました。
当初は、現代的な作品の発表を試みておられましたが、後に師となる陶匠・加藤唐九郎氏との出会いにより、志野・黄瀬戸・瀬戸黒などを制作するようになり、現在では、伝統的な作品を極めつつも、新しい陶芸の創造を追求されておられます。
今展では、師・唐九郎直伝の妙技に加え、生れながらの陶技を存分に発揮され生み出された味わい深く、炎が舞うごとく躍動感に満ちた力作の数々をご出品いただきます。
故・加藤唐九郎氏をして「彼は実にうまい」と絶賛された陶技・陶芸をこの機会に、ご高覧賜りますようご案内申しあげます。
炎舞志野茶碗
志野茶碗
山田 和 やまだかず
1954 愛知県常滑市出身
1976 大阪芸術大学卒業
福井越前町に移り制作を始める
1978 のちに師となる加藤唐九郎に出会う
1979 志野を焼くための穴窯を築く
この頃より加藤唐九郎に指導を受ける
2003 黒田陶苑 初個展
2013 福井県陶芸館にて個展