山田 和 志野茶碗
このたび黒田陶苑では、山田 和 志野茶わん展を開催いたします。
2012年に開催した「山田 和-瀬戸黒茶わん展」から早5年。
昔々の昭和25年に私どもの店で行った「加藤唐九郎-瀬戸黒茶わん展」は、戦後初の個展開
催として陶芸史の一行に記され、それは戦後復興を意味しているものでもありました。
東日本大震災の翌年に開催しました「山田 和-瀬戸黒茶わん展」は、早期の震災復興を願
い、陶芸史に残る由緒ある展覧会の名称に因んであえて名付けたものでした。
ご承知のとおり、山田 和氏にとって昭和の名匠・加藤唐九郎は師であり、唐九郎の晩年に側
近した数少ない人物のうちの一人です。当時まだ若かった山田 和は師から、行儀作法に始
まって、茶碗の見方・作り方、美の本質・芸術論に至るまでを教え込まれたという貴重な経験
をもちます。師とともに過ごされた濃密な時間が熟成して、現在の作品となって表れていると思
うのは、私だけではないはずです。
このたびの展覧会は、前回の「茶わん展」の続きとして名称を引き継ぎ「山田 和-志野茶わん
展」といたしました。「瀬戸黒」もそうでしたが、今回の「志野」は、「今までに見たことがないよう
な作品」が多く含まれています。
伝統を探りつつ新しきを求め、歩みを止めることのない山田 和の陶芸。
それは、師から授かった教えの実践にほかなりません。
黒田佳雄
山田 和 炎舞志野茶碗
山田 和 志野茶碗
山田 和を推す
加藤唐九郎
もうだいぶ前のことだが、私は越前でよい土を見つけ、志野・黄瀬戸を試みたことがあった。
それを見て、福井県陶芸館の館長が大変喜んだものだ。越前の土をよくぞ生かしてくれたとい
う訳である。
私は更に、その線を押し進めてみたいと思いながら、意の如くならぬままに年月が経った。
その線を私に代わるようにして押し進められたのが、山田 和君である。
彼は、まず人柄が良い。私はその人柄に惚れ込んで彼に肩入れしてみたくなり、云うなれば遠
隔操作にこれ努めたのである。
しかも彼は実に「うまい」。
このうまさは、若い作家の中では群を抜く。
まだまだ初歩と云うべきだが、この素晴らしい土と、良い人柄と、若いに似合わぬ技術の三拍
子が人間的な成長を待って更に飛躍を遂げ、今に相当のものを作るであろうと私は見込んで
いる。
大方の実見を切に奨める次第である。
(1980年11月 山田 和・個展に寄せて)
山田 和 志野茶碗
山田 和 Yamada Kazu
1954年 愛知県常滑市出身
父は陶芸家・山田健吉。伯父は人間国宝・三代山田常山
1976年 大阪芸術大学卒業
福井県越前町・越前陶芸村に移る。築窯し陶芸制作開始
おもに、オブジェを作る
1978年 名古屋での初個展の会場に加藤唐九郎氏が来会
師との運命的な出会いとなる
その直後、越前の土で志野を試みるようになる
1979年 志野を焼くための穴窯を築窯
加藤唐九郎氏が来窯し、指導を受ける
東京でのグループ展で志野を初めて発表する
1980年 唐九郎氏の推薦のもと、丸栄にて個展(以後隔年開催)
1985年 師と死別
1988年 ドイツにて穴窯制作、ドキュメント映画「炎より生れる」に
制作参加する。翌年、ドイツにて作品を制作
1993年 日本橋三越にて個展(以後隔年開催)
2003年 銀座 黒田陶苑にて個展(第2回展2008年)
2010年 「茶事をめぐって-現代工芸への視点展」に招待出品
主催/東京国立近代美術館工芸館
2012年 銀座 黒田陶苑にて「瀬戸黒茶わん展」開催
2013年 銀座 黒田陶苑にて個展開催 以降隔年開催
2014年 銀座 黒田陶苑にて「土偶展」開催 以降隔年開催
2017年 銀座 黒田陶苑にて「志野茶わん展」開催
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