鈴木伸治 赤絵四方面水指のこと

 

この水指が、中世から伝わるような茶室の点前座に置かれて、良いと云われるはずもなく。ただ、そのような茶室を誰でもが使えるはずもない。
昭和の時代に作成された茶道の方程式の難問は、平成の時代が終ろうとしている今、解いておく必要がある。
茶道が大衆に降臨し全盛を極めた昭和の時代を経て、平成の時代に衰退へと向かってしまった。新たな元号となる次の時代に、茶道は再興に向かわなければならない。
四方佛ならぬ四方面(よほうづら)。いかにもアメリカな四人の顔が描かれている水指です。
アートの世界はもとより、ルイヴィトンやディオール、ヴァレンシアガ、リモアなどの数多くの有力老舗ブランドが、ストリートファッションを取り入れるなど、世界はサブカルチャーが主流をなしてきている今。茶道がストリートとタッグを組むと何ができるだろうか。
作品の良し悪しは、未来の人々が判断することなので、結論を急ぐ必要はないが、今、作品を作っておかなければ、未来の人々は判断どころか、見ることもできない。
だから今、今の作品を作ることが必要になる。

 

武末日臣 個展 -對馬より-

 

 

 このたび黒田陶苑では、長崎・對馬で主に李朝陶の雰囲気を持つ作品を制作している
武末日臣さんの個展を開催いたします。
朝鮮半島に近い對馬は、韓国と同じ地脈にあることから、作陶に使う原土が李朝陶の
制作に適しています。
古陶磁収集の趣味が高じて陶芸家になった武末さんの作る作品はどれも迫真で、また
作者の性格が顕著に表れていて親しみやすさと緊張感の両を愉しめるものばかりで
す。
ぜひ、ご高覧くださいますようご案内申しあげます。      黒田佳雄

 


 

 


奥高麗茶碗   

 

 

 

 


粉引面取徳利 
絵粉引徳利  

 

 

 

 


黒釉白花酒杯 

 

 

 

 

 

 


井戸酒杯 

 

 

 

 

 


 

 


武末日臣 Takesue Hiomi

1955  長崎県上対馬町生まれ
1989  韓国で古窯調査を始める
1994  對馬に工房を作り、制作を開始
1996  個展での作品発表を始める
2019  第9回 黒田陶苑 個展

 

 

 


 

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山口真人 個展 -琳派織部 Ⅳ-

 

 

 このたび黒田陶苑では、愛知県瀬戸で作陶している山口真人さんの新作個展を開催い
たします。
山口さんの作風は、古いものを研究することで培われる技術でもってつねに新しいも
のを探求し、一見伝統的でありながらも、今までにないものを創造するという陶芸家
の神髄を実践するものです。
今回の新作は、織部・志野・黄瀬戸・古瀬戸灰釉、そして銀彩まで多岐にわたり、一
切の妥協を許さぬ手の入れようは、見ていて惚れぼれするほどです。
作陶の充実期を迎えた山口さんのこれからがとても楽しみです。
ぜひ、ご高覧くださいますようご案内申しあげます。      黒田佳雄

 

 

 


 

 


織部龍図角皿 

 

 

 

 


銀刷毛目酒盃 
銀刷毛目徳利 

 

 

 

 


黄瀬戸ぐい呑 
黄瀬戸茶碗   

 

 

 


織部龍虎図茶碗 
織部ぐい呑    

 







(L)赤織部水注 
(R)織部水注   

 

 

 


 

 

 

山口真人 Makoto Yamaguchi

1978 愛知県瀬戸市出身
    江戸時代末から続く瀬戸の
    窯元・西山窯の六代目当主

2013 第1回個展(銀座 黒田陶苑)
            以降、毎年開催

 

 

 


 

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鈴木伸治 個展 -自分の赤絵-

 

 

 このたび黒田陶苑では、岐阜県多治見で制作を続けている鈴木伸治さんの個展を開催いたします。
1976年に岐阜市で生まれた鈴木伸治は、陶芸家を志す人々が通う専門学校「多治見意匠研究所」を卒業し、25歳の時に工房を構え創作活動を始めました。
当初は食器などを主に作っていた鈴木さんは、子供の頃にテレビでたびたび見かけた老陶芸家が作っていた「志野茶碗」を思い出し、独自の志野茶碗を展開するようになります。その後、赤志野・鼠志野を経て、鈴木さんの代名詞にもなっている「紫志野」に至りました。
「自分の赤絵」とタイトルされた今回の展覧会は、鈴木さんが原点としている「赤絵」を志野茶碗に施した作品が主となります。
今まで封印していた絵心を志野に思う存分に描き切っての新作登場になります。
ぜひ、ご高覧くださいますようご案内申しあげます。

 

 

 


 

 


志野赤絵釉垂雲龍図茶碗

 







志野赤絵風神図茶碗

 


 

今回は赤絵でいきます。
赤絵は原点として存在していて、だから今がある様な。
自分の赤絵。               鈴木伸治

 

 


 

 

 

鈴木伸治 Shinji Suzuki

1976 岐阜県岐阜市生まれ
2000 多治見市陶磁器意匠研究所卒業
2001 多治見市に工房を作り、食器制作を始める
2005 志野を作り始める
2007 第一回個展(銀座 黒田陶苑)

 

 

 

 

 

 


 

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鈴木伸治さんのこと

 

1976年に岐阜市で生まれた鈴木伸治さんは、陶芸家を志す人々が通う専門学校「多治見意匠研究所」を卒業し、25歳の時に工房を構え創作活動を始めました。
当初は食器などを主に作っていた鈴木さんは、ある時行き詰まりを感じ、子供の頃にテレビでたびたび見かけた加藤唐九郎が作っていた「志野茶碗」を思い出し、独自の志野茶碗を展開するようになります。その後、赤志野・鼠志野を経て、鈴木さんの代名詞にもなっている「紫志野」に至り、人気を誇るようになりました。
この作品は、「自分の赤絵」とタイトルされた今回の展覧会に出品したもので、鈴木さんが原点としている「赤絵」を志野茶碗に施した作品です。
今まで封印していた絵心を思う存分に描き切り、強烈な赤色に加えてその大胆な筆致と構図には、鈴木さんの陶芸への情熱を再認識しました。
古くは、江戸時代にもこのような作風のものが無くはないですし、近代にも手掛けた人が居ますが、絵が描ける・絵の上手い陶芸家が少なくなった現在、またひとつ頭を出してきたなと鈴木さんに言おうと思っております。

 

鯉江良二展が終了いたしました。

先週末から開催していた鯉江良二展が終了いたしました。
会期中には、多くのご来場があり、海外からのお客さまも少なくなく、鯉江良二先生の衰えぬ人気を実感したところでございます。

今回は、会場の都合で大きな作品や連作オブジェ・書額などが展示できませんでしたが、次の機会には、そのような作品ばかりの展観を考えたいと思っております。

ご来会くださいました方々に感謝申し上げます。

鯉江良二 展

 

 鯉江良二氏は80歳を迎えた現在、病気療養に専念されています。
鯉江氏は、1960年代から美術界で活躍し、70年代以降には陶芸界に新風を巻き起こして国内外でその名を広めています。90年代後半以降、愛知県立藝術大学の教授に就
任してからは、「モノ作りよりも人作りだ」と公言し、積極的に学生の指導にあたり
ました。
異文化交流のために交換留学制度を作り、世界中を巡り、陶芸や美術の楽しさをア
ピール。まさしく東奔西走し、五大陸を股にかける活躍でした。
2000年代以降、陶芸制作は限定的になり、病気発病の前後から、あれほどの多作を
誇った鯉江氏は、作品制作の一切をやめています。
今回の展覧会では、もっとも鯉江良二の特徴が現れている1990年頃の作品を中心に展
観し、平成の終わりに、鯉江良二の偉才ぶりをじっくりと眺めてみようと思います。
ぜひ、お付き合いください。                   黒田佳雄

 


 

 


白い壺

 







化粧手壺

 

 

 

 

 


 

 


壺を作る鯉江良二 (2010年)

 

 

鯉江良二 Ryoji Koie

1938  愛知県常滑市出身
1961  常滑市立陶芸研究所の研究員になる
1966  陶芸制作を始める
1971 「土に還る」(京都国立近代美術館所蔵)を制作
1972  新たに大型薪窯を設置し、屋外作品を作るようになる
1973  現代工芸の鳥瞰展(東京国立近代美術館)招待出品
1982  伝統と前衛展(サントリー美術館)招待出品
1986  日本の前衛展(パリ・ポンピドウセンター)招待出品
1987 「引出黒茶碗」を発表する
1992  愛知県立芸術大学美術学部陶芸科教授に就任
1996  初回顧展「鯉江良二展」(岐阜県立美術館)開催
2001 「織部賞」受賞
2005 「中日文化賞」受賞
2010  古常滑を再現する
2012  体調を崩し、制作を休止する
2013  食道癌手術の後遺症で、声を失う
2015 「鯉江良二展」(愛知県立陶磁美術館)開催 

 

 


 

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