黒田辰秋 茶杓のこと
木工芸の人間国宝で、河井寛次郎・濱田庄司・富本憲吉・石黒宗麿ら多くの陶芸家と交流のあった黒田辰秋先生。
家具や調度品を受注制作することから始めた創作活動でしたが、燿貝による螺鈿技法を習得し、美術工芸の世界に飛びこみ、工芸家としての成功を得ました。
家具・調度品の制作も継続していく辰秋でしたが、漆芸の飾り筥や茶道具の制作が本流になってゆき、名声も得て、人気も絶大を誇るまでになりました。
稀少で貴重な木材や貝の素材を惜しむことなく使用した得も言われぬ存在感は高級感
に溢れ、人々を魅了しました。
晩年には、竹を素材にした茶の湯の花入などの竹芸さらに陶芸にまで芸域を広めました。
この作品は、辰秋の最晩年に制作された茶杓で、喜寿を記念して特別に作られたもの
を証す焼き印が、筒と作品に押されています。
根竹を用いて作られている力感溢れる辰秋らしい一品です。
隠崎隆一の茶碗に取り合わせて
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