北大路魯山人 信楽灰被花入
北大路魯山人先生は最晩年にヨーロッパ・アメリカを外遊され、展覧会や講演会をされました。72歳の頃でした。
この作品は、その外遊から帰られた直後に制作した花入です。
この頃、好んでこの作品のような下蕪形の長頸瓶を作られており、魯山人の花入の完成形態といってよいものです。
轆轤で成形したのちに素焼きの工程を経て、灰を被せさらに鉄を打薬して登り窯で焼成したこの作品は、高温の焼成により激しく窯変し、釉は流れ、鉄打ち部分は剥がれ落ち器肌が覗いています。
魯山人先生の激しい美への執念を見ているようで、この作品の品格は、迫力と緊張感に溢れ、ぞくぞくするような感覚を覚える一品です。
肩部に大きく釘彫でサインが入れられています。
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北大路魯山人 | Rosanjin Kitaoji
1883
京都市北区上賀茂北大路町に生まれる
1907
東京で書家として活動を始めるが挫折し放浪
1916
挫折し、韓国・中国・滋賀・福井・金沢など放浪し京都へ戻る
1919
東京で美術骨董店を開業
1921
骨董店の顧客を対象に、自らの料理を供する「美食倶楽部」を始める
1923
美食倶楽部で使用する食器の外注制作を始める
1925
料亭「星岡茶寮」を経営
1928
星岡茶寮の食器を製作するための製陶所「星岡窯」を鎌倉に設ける
その後、百貨店や茶寮などで作品即売会を催し評判を呼ぶ
1935
陶芸創作に専念するようになる
1936
星岡茶寮の経営から離れる
1937
北大路魯山人新作展(弊社主催)
1939
この頃「星岡窯」は50名余が従事し活況を呈する
1942
戦時下、石川に疎開し漆芸作品などを制作
1954
ロックフェラー財団の招聘によりニューヨークなどで個展を開催
アメリカ・ヨーロッパなどを歴訪
1955
重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を辞退
1956
東京・京都・名古屋などで盛んに個展を開催する
1959
逝去(享年77歳)