岡部嶺男 鉄釉茶入

 

 

少年期より家業の製陶業を手伝い、愛知県窯業高等学校入学の頃には既に、轆轤技術・製陶技術は完全にマスターし、技術力においては教師をも凌ぐ腕前を誇っていた岡部嶺男。

窯業高校時代には、中世の古陶磁を独自に研究し、鎌倉時代の古瀬戸や桃山時代の黄瀬戸・織部を再現してみせ、先輩や教師を驚かせていたといいます。後に重要文化財に指定されてしまった「永仁の壺」も、この窯業高校時代に制作されたものです。

この作品は、鉄釉の研究を重ねていた窯業高校時代の初期に制作された作品で、肩に双耳のある姿の良い茶入れで、朝鮮唐津を意識し作品正面の口元から、瀧の流れを表現したような白濁釉が施されています。高台は、土見せの糸底になっています。

この茶入は、新発見の作品で、嶺男の生誕地である愛知県瀬戸の「瀬戸市美術館」において、2015年夏に開催された回顧展「岡部嶺男の陶芸」展で初めて公開されました。

 


 

岡部嶺男 おかべみねお

1919 愛知県瀬戸市に生まれる(加藤唐九郎の長男)
1935 窯業高等学校に通いながら家業に従事し、作陶を始める
1938 東京理科大学に入学
1940 大学を中退し入営。各地を転戦
1945 敗戦後、捕虜となる
1947 復員。愛知県豊田市平戸橋に移る
    作陶を再開する
1954 日展北斗賞を受賞
1962 青瓷を始める
1965 紺綬褒章を受章
1968 愛知県日進に移る
1970 窯変米色瓷が完成
1978 病に倒れ半身不随になる。加藤から岡部に改姓
1989 再起新作展を開催し新作を発表
1990 逝去(享年70歳)
2011 没後20年回顧展[宿命-岡部嶺男展](銀座 黒田陶苑)


Mineo Okabe
1919 Born in Seto, Aichi prefecture.
1937 Graduated from Seto Ceramic High School.
1938 Entered into Tokyo University of Science.
1940 Dropped out from the university. Entered into the army of inner Mongolia.
1947 Demobilization from the army. Settled in Hiradobashi, Aichi. (current Toyota city)
1949 Independently began ceramics in Hiradobashi. Married to Tatsuko.
1955 Received the award of the Japanese Ceramics Society at the first time.
1963 Started focusing on researching celadon. Moved to Nisshin, Aichi.
1965 Succeeded in producing 'Funseiji' (粉青瓷) Powdery Celadon. Received Medal with Dark Blue Ribbon.
1969 Dedication of a set of Celadon vases to Umenoma room of Imperial Household Agency
1970 Succeeded in producing Yohen Beishokuji. (窯変米色瓷)
1978 Hospitalization by cerebral hemorrhage. Changed his sir name from Kato to Okabe.
1989 Exhibition of new works from recovery at Matsuzakaya department store in Nagoya.
1990 Passed away at the age of 70.
2011 Retrospective exhibition [Destiny] at Ginza Kuroda Touen.


 


-迎春- 茶のうつわ展

 

明けましておめでとうございます。
本年も皆々様に愉しんでいただける展覧会ができますよう、努力してまいりたく存じます。
今年最初の展覧会は、新春恒例になりました、お茶道具展「茶のうつわ展」を開催いたします。

中世の古陶から幕末ころの近世の茶碗、近代の陶芸巨匠の珍品まで、喫茶を愉しむだけでなく、鑑賞にも堪えうる品々も取り揃え展示いたします。

2階・3階の同時開催で、2階の展示は古陶磁を中心に、3階は近代陶芸巨匠の作品の展示になります。

お忙しい日々とは存じますが、一刻、銀座の街へお出ましくださいますようご案内申し上げます。

 

堀の手 黄釉茶碗  [室町時代]

室町時代に美濃で作られた茶碗です。
昭和初期に窯址から発掘されたもので、欠損部分を
青海波模様の蒔絵で丁寧に修繕されています。

 

濱田庄司  琉球窯藍差赤絵茶碗

濱田庄司先生の最晩年期の作品で、沖縄で制作された一品です。
濱田の七十七歳の喜寿記念に刊行された「濱田庄司七十七碗譜」に
カラー図版で掲載されています。


 

 

-迎春- 茶のうつわ展

 

明けましておめでとうございます。
本年も皆々様に愉しんでいただける展覧会ができますよう、努力してまいりたく存じます。
今年最初の展覧会は、新春恒例になりました、お茶道具展「茶のうつわ展」を開催いたします。

中世の古陶から幕末ころの近世の茶碗、近代の陶芸巨匠の珍品まで、喫茶を愉しむだけでなく、鑑賞にも堪えうる品々も取り揃え展示いたします。

2階・3階の同時開催で、2階の展示は古陶磁を中心に、3階は近代陶芸巨匠の作品の展示になります。

お忙しい日々とは存じますが、一刻、銀座の街へお出ましくださいますようご案内申し上げます。

 

堀の手 黄釉茶碗  [室町時代]

室町時代に美濃で作られた茶碗です。
昭和初期に窯址から発掘されたもので、欠損部分を
青海波模様の蒔絵で丁寧に修繕されています。

 

濱田庄司  琉球窯藍差赤絵茶碗

濱田庄司先生の最晩年期の作品で、沖縄で制作された一品です。
濱田の七十七歳の喜寿記念に刊行された「濱田庄司七十七碗譜」に
カラー図版で掲載されています。


 

 3階の展示は、1月28日(木)まで開催いたします。