北大路魯山人先生は、陶芸制作を始めた初期には、桃山陶・中国や李氏朝鮮の古陶磁の倣作を制作していました。
この作品は、中国の明時代(16世紀)の嘉靖帝の時代に作られ、古くから日本でも珍重された「嘉靖金襴手」の手法やデザインを取り入れたものです。
赤玉とは、古くから日本で言い慣わされている数寄者言葉で、赤絵で描かれた宝珠文様のことを指し、赤絵で丸い文様があるタイプを赤玉と称していました。
朱や緑の色彩や金彩までも忠実に再現されており、また繊細精緻な筆使いも他の追随を許さない、中国古陶磁の本歌に並ぶ、もしくはそれ以上の出来上がりになっています。
高台内に染付で「呂」のサインがあります。
北大路魯山人 | Kitaoji Rosanjin
1883
京都市北区上賀茂北大路町に生まれる
1907
東京で書家として活動を始めるが挫折し放浪
1916
挫折し、韓国・中国・滋賀・福井・金沢など放浪し京都へ戻る
1919
東京で美術骨董店を開業
1921
骨董店の顧客を対象に、自らの料理を供する「美食倶楽部」を始める
1923
美食倶楽部で使用する食器の外注制作を始める
1925
料亭「星岡茶寮」を経営
1928
星岡茶寮の食器を製作するための製陶所「星岡窯」を鎌倉に設ける
その後、百貨店や茶寮などで作品即売会を催し評判を呼ぶ
1935
陶芸創作に専念するようになる
1936
星岡茶寮の経営から離れる
1937
北大路魯山人新作展(弊社主催)
1939
この頃「星岡窯」は50名余が従事し活況を呈する
1942
戦時下、石川に疎開し漆芸作品などを制作
1954
ロックフェラー財団の招聘によりニューヨークなどで個展を開催
アメリカ・ヨーロッパなどを歴訪
1955
重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を辞退
1956
東京・京都・名古屋などで盛んに個展を開催する
1959
逝去(享年77歳)