北大路魯山人 織部手桶形鉢のこと
北大路魯山人 (1883~1959) 織部手桶形鉢
1938年 w22.4×h30.5㎝ 共箱
「私の陶芸は日本の様々な古典的古陶を師範に採ることが多い。その他、東洋に西洋に古典的存在を範としていることも事実である。しかし、私はあらゆる自然美を唯一の師範と仰ぎ美の探究を続けている。私の陶芸はすべてそこから始まる。」ー北大路魯山人
北大路魯山人のお家芸の代表格として挙げられる手桶。
実用的な民具の木製手桶の形状を模して作られた陶製の手桶の歴史は古く、水指や花入として中国・清時代の古染付や江戸時代の京焼などの上質な茶道具に散見されるものである。
魯山人の手桶は、京都国立近代美術館が所蔵する名作「備前手おけ花入」を筆頭に多種の技法でもって手桶を残している。
備前のほかに、織部・伊賀・絵瀬戸・染付・白磁金彩・銀彩など作陶期間の初期から最晩年まで、作品数は限定的であったが手桶の数々を制作したのである。
轆轤引きで細長い壷状のものを作ったのち、両端の取っ手に繋がる部分を残して切り取り、残した部分に板状の粘土をあたかも木の板を差し込んだように付けあわせ、最後に縄に模した二本の装飾を施す。切り取られた断面に鋸で切ったかのような鋭いエッジを表し、肉厚は木の板を思い起こさせる計算されたみごとな出来栄えである。
魯山人の手桶の多くは、木製手桶を観察しながらも、上に向かって内側に湾曲する曲線で構成される17世紀の中国の古染付手桶の形状を取り入れていることが多く、本作品においてもその特徴がみてとれる。
この作品は、全体に織部釉を掛けた手桶である。
美しい緑色の織部釉は鮮烈で、高い技術で精巧に作られた器体に縦横無尽に流し掛けした釉薬の傍若無人ぶりは、魯山人ならではの迫力がある。
時代や素材が違う中国と日本の美の様式を魯山人が一つに纏め創りあげた一品である。
この作品は、全体に織部釉を掛けた手桶である。
美しい緑色の織部釉は鮮烈で、高い技術で精巧に作られた器体に縦横無尽に流し掛けした釉薬の傍若無人ぶりは、魯山人ならではの迫力がある。
時代や素材が違う中国と日本の美の様式を魯山人が一つに纏め創りあげた一品である。
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