-根来塗- 大藏達雄 漆芸展

 

 

根来日の丸盆 (表面中央部拡大)

 

 

大藏達雄さんの「根来」

 俗に「根来」と称される朱漆塗器物の一群は、繁栄を極めた中世の紀州根来寺で
一山内の旺盛な需要を賄うために製作された朱漆器が主流をなすが、江戸時代に
入ってからも庶民の間では「根来もの」「根来出来」と称されて喧伝・珍重された。

 それは中世根来一山内の組織立った工房が優れた木地師集団や塗師を擁し、彼らが
積極的に機能的で洗練された美しい形姿と微動だにしない頑健な素地づくりに励み、
さらには堅牢な塗り肌を持つ良質な漆器に仕上げられたからに他ならない。

 「根来」の素晴らしさは機能的であるが故に馴染まれ使い込まれてきた朱漆器が、
用に耐えてきた中から醸し出す漆の塗り肌の絶妙な味わいにあると申して過言では
ないであろう。

 明治の財界で活躍し日本の近代化に尽くした数寄者たちが、茶席の道具立てに競っ
て「根来」を愛用したのも、下塗りの黒漆と上塗りの朱漆がみごとに調和して醸し
出す塗り肌の雅味の故であるが、そのような用に耐えてきた「根来」の塗り肌の美
に、時空を超えて感銘し、自らの作品の中に再現しようと大奮闘しているのが、
大藏達雄さんである。

  大藏さんの「根来」は中世根来の単なる模造ではない。経年の用に耐えて内部から
自然にほとばしり出てくる塗り肌の名状しがたい味わいを可能なかぎり表現しよう
とするいわば大藏流の試みなのである。

 拙宅を訪れた「根来」の蒐集には目のない数寄者の方が、東大寺修二会所用の
錬行衆盤(日の丸盆)を範にして、大藏さんが最近制作した作品を御覧になり是非
所望したいという。何故ですかとその理由を尋ねると今出来の「根来」ではあるが
他の道具との取り合わせに用いても不自然ではないし、何より塗り肌に厭味がない
からであるという。私もまったく同感である。

 「根来」写しの朱漆器の中には得てして意味不明の塗りや不快感をもよおすものもある
が、大藏さんの「根来」にはその塗り肌に筆舌に尽くし難い温もりと親しみがある。

 

河田 貞 (奈良国立博物館名誉館員・元文化庁文化保護審議会専門委員)



根来椀 二種

根来コロ花入 (素地:瓢箪)

根来天目椀

 


-幻の猿投青瓷- 大石訓義 個展

 

大石訓義(おおいし・のりよし)は、1950年静岡県出身。

1980年土岐市陶磁器試験場修了後、古代~中世の古窯の研究を始め、1984年愛知県豊田市に穴窯を築き、陶芸制作を開始しました。

猿投古窯・平安常滑の再現展に引き続き、今回は、幻のやきものと謂われる猿投青瓷を再現する展覧会です。
ぜひ、ご高覧ください。

 

 

-彫文・陶彫- 大野敦史 個展

 

大野敦史は、1972年茨城県日立市生まれ。

置き物などの陶を素材にした造形作品を作る陶彫家として活動を始めた大野さん。最近は、壷や花器などに模様を彫り込む作品を手がけています。
今回は、青白磁彫文壷の新作と陶彫作品も併せ展示いたします。ぜひご高覧ください。

 

魯山人 - 美の美学 -

 

北大路魯山人。
生活の中に美を追求し、究極の美を創造し続けた偉大な芸術家。

魯山人藝術を象徴するものが、皿や鉢などのうつわの作品です。その種類や数量といえば、多種多様を極め、当然ながら一括りにはできません。
「魯山人に代表作なし。」と良い意味で謂われる由縁はその多様性にあります。

今回の展覧会では、あまたある魯山人藝術の中より、特に類品の少ないまた、他に類を見ない作品を特集して展観いたします。

ご高覧いただけましたら幸いに存じます。

-温故知新- 盆出哲宣 個展

 

盆出哲宣(ぼんで・あきのり)は、1971年埼玉県出身。
1992年文化学院卒業後、陶芸制作を開始。昨年、千葉上総へ工房を移し、新しい環境で作り始めたのは、自らが若い頃より興味を持っていた骨董風の作品でした。
今回の展示は三嶋あり、唐津あり、織部もありの古陶三昧です。盆出さんの新作をぜひ、ご高覧ください。

 

五味 茜 個展 -真夏の風色-

 

五味 茜 (1979年 東京生まれ)
東京造形大で彫刻を学んだ五味さんは、卒業後にやきものを始めました。

陶芸教室の講師をしながら作陶生活を開始。
現在は、石神井公園の近くで、自宅を改装した工房で、うつわを作っています。瑠璃や粉引など、シンプルで使い易いうつわが、たくさんできました。ぜひ、手にとられてご覧ください。

 

 

五味 茜

1979 東京都新宿区生まれ

2003 東京造形大学彫刻専攻卒業
    陶芸家・望月 集に師事

2008 東京・練馬に工房を作り、制作を始める

 

 

西村陽平 作品特集

 西村陽平 作品特集 -焼かれても燃えないもの-

 

西村陽平 (1947年 京都市生まれ)

1973年東京教育大学卒業後、教員をしながら作品制作を始めた西村は、視覚や触覚・聴覚など感覚をテーマにした作品を作り続けています。
91年の黒田陶苑の個展では、黒陶の造形作品を発表しました。
画像の作品は、文庫本を高温の窯で焼成した作品で、既成概念を覆しさらに物体の本質を表出させようとしています。
今回の作品特集では、2012年の愛知県陶磁美術館での展覧会に出品された作品を主軸に旧作を中心に展示いたします。
ぜひ、ご高覧ください。

 

西村陽平

1947 京都市生まれ

1973 東京教育大学教育学部芸術学科卒業

1974 千葉県立千葉盲学校の教諭になる

1977 日本陶芸展外務大臣賞受賞

1991 個展(銀座 黒田陶苑)

2001 日本女子大学家政学部児童福祉学科助教授就任

2006 同大学教授就任

 

 

西村陽平展 図録(愛知県陶磁美術館 2012年)

 

西村陽平展の図録より