30年以上前のこと。
「陶芸とは、あなたにとって何ですか?」というクエスチョンを美術関係雑誌の編集者・M氏から問われた。
その時に答えたアンサーは「音を楽しむように、陶を楽しみたいです」と。
音楽好きだった当時20歳代のいかにも若気の至りのようなことを答えていました。
誌面に反映されなかったけれども、25歳の小生は「陶に親しみを感じていただき、鼻歌を歌うようにやきものを愉しんでください。」と続けて答えた。
今年2017年、30年前の25歳の私が「曜変天目」の酒盃をこのように手にすることなど想像することもできませんでした。
曜変天目茶碗は悠久の大宇宙を掌にする大いなる愉しみがありますが、曜変天目酒盃はふと夜空を見上げるように掌に星を浮かべることができる。
今回の新作酒盃10点は、やきものを真に愛する方々への桶谷寧さんからのプレゼントだと思う。ご自分のものにするかどうかは別として、その曜変天目酒盃を手に持つ、有史以来かつて誰も経験したことのない世界最高の瞬間をお試しください。
鼻歌で何を奏でようか、考える必要もなくウフフと鼻息が漏れる。